資本効率性の指標として何を選ぶか
- toshikato
- 2016年7月18日
- 読了時間: 2分
投下する資本に対する利益創出の程度を資本効率性といい、様々な種類の指標が存在します。本日のコラムでは、各指標の特徴を探ってみます。
1.ROA(Return On Assets:総資産利益率) これはバランスシートの借方(左側)に計上されている全ての資産からどれだけの利益を生み出したのかを表す指標で、数値が高いほど好意的に評価されます。しかし、無駄な資産を多く抱える会社の場合、仮に事業の競争力があっても数値は低くなってしまいます。よって、数値の高低だけをみて事業の競争力や収益性を論じるには注意を要します。
2.ROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率) これは事業に使われている資産のみからどれだけの利益を生み出したのかを表す指標で、数値が高いほど好意的に評価されます。しかし、①無視している無駄な資産への監視が行き届かなくなる可能性がある、②事業に使われている資産か否かの判断が恣意的である可能性がある点には注意を要します。
3.ROE(Return On Equity:自己資本利益率) これは株主から拠出された資金からどれだけの利益を生み出したのかを表す指標で、数値が高いほど好意的に評価されます。しかし、事業の競争力や収益性は低いにもかかわらず、財務レバレッジを高めることによりROEを高めることができてしまう点には注意を要します。
このように、各指標にはそれぞれ特徴があります。では、私たちはどのような判断基準で指標を選ぶべきでしょうか。私なら、上場企業であれば、①決算書類への開示を義務付けているので他社との単純比較に利用できる、②市場より株主資本を調達する以上株主の求める期待リターンを上回る利益を生み出すべきである、という判断基準でROEを選びます。そして、当該企業の過去10年程度のROEの算術平均を用います。みなさんなら、どのように判断されますか?
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