無料のモノは敵か味方か
本日のコラムでは、収益を追求する営利企業にとって“無料のモノは敵か味方か”について考えます。
1.月間PV15億を誇るモンスターサイト 「小説家になろう」という、小説が無料で読めるサイトがあります。無料で読める小説は小説家志望者やプロの小説家が無料で投稿しており、小説掲載数は今や約55万作品に上ります。しかも、定時更新や読者投票で読者が読みたいシナリオを選ぶ等の工夫により、登録読者数は約120万人、月間PV15億を誇るモンスターサイトなのです。
小説家になろう https://syosetu.com
2.成功の鍵は著者の発掘・育成と読者の支持 ところで、商業出版を収益につなげるために出版業界が考えることは何でしょうか。私は二つあると思っています。一つは、“書く力”のある良い著者を発掘し育成することです。もう一つは、“はたして読者に支持されるのか”と不安を抱えながらリスクを負ってトライではなく、読者に支持される“売れる本”を出すことです。
3.出版業界にとって強い味方の無料サイト それでは、この無料サイトは出版業界に何をもたらすでしょうか。私は二つのメリットをもたらすと思っています。一つは、実績付きの“小説家の卵”を発掘し育成してくれることです。もう一つは、読者の反応を取り入れて“既に人気があるとわかっているもの”を出版できることです。もはや、にっくき敵どころか“強い味方”になっていますね。
以下のサイトによると、この無料サイトに投稿している作者の方々の作品から、多くの商業出版が生まれています。ちなみに、アニメ映画化の決まった人気小説「君の膵臓をたべたい」の商業出版も、この無料サイトでの連載がきっかけになっているそうです。
書報 https://syosetu.com/syuppan/list/