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新しい言葉に飛びつく前に

サイモン・シネックという人が提唱しているゴールデンサークルという考え方があります。これは、マーケティングを展開するときに、なぜそうするのかということから始めて、それを具現化するためにはどうするかを考えて、具体的にどんな製品やサービスに落とし込むかという流れでアプローチする企業が消費者の心を捉えていると示したものです。先日、この考え方をこれまであまり語られてこなかった企業戦略にまで広げていこうという方の意見を耳にしました。この発想、果たしていかがなものでしょうか。

まず、「なぜそうするのか」について考えます。企業には、単に事業の内容を述べたものではなく「なぜそうするのか」という問いに答える目的、つまり存在意義(ミッション)が存在します。食品会社であれば、「食生活の質を向上させることによって人々の幸福に寄与する」といったところでしょう。

つぎに、「それを具現化するためにはどうするか」について考えます。企業には、目的を達成する過程でどう行動していくべきかを示す行動指針、つまり価値観が存在します。先の食品会社であれば、新鮮な食材の調達と加工技術のいずれに付加価値を求めるかの判断は、価値観を基準に決められることでしょう。

最後に、「具体的にどんな製品やサービスに落とし込むか」について考えます。企業には、目的を達成したときはどうなるという未来のイメージ、つまりビジョンが存在します。先の食品会社であれば、「高度な加工技術によって素材を生かしたおいしい食品を安価で製造し、全国ネットで効率よく販売する」と示せば説得力を備えたものになります。

企業戦略の土台となる「企業経営の仕組み」について語るならば、ゴールデンサークルという考え方を持ち出すまでもなく、「存在意義(ミッション)」「価値観」「ビジョン」という既出の言葉で十分に説明できます。新しい言葉に飛びつく前に、「つまりどういうことなのか」と考える習慣をつけるとよいかもしれません。

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