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成熟期の業界ではもう成長できないのか

  • toshikato
  • 2017年6月5日
  • 読了時間: 3分

本日のコラムでは、世の中に登場して100年以上がたつコモディティである段ボールを題材にして、成熟期の業界ではもう成長できないのかについて考えます。

1.成熟期の段ボール業界 成熟期とは、市場の成長率が停滞する段階を言います。対象とする成長率には①ゼロ、②マイナス、③プラスでも伸び率が1桁台のものが挙げられる、と私は考えています。ちなみに、全国段ボール工業組合連合会発表の統計資料より段ボール消費の4割を占める加工食品部門の年平均成長率を調べてみると、平成21年から平成28年までの8年間で僅か1.9%でした。段ボール業界、成熟期にありますね。

〔全国段ボール工業組合連合会〕 http://zendanren.or.jp/data/pdf/shohi_doko/kakuhou3.pdf

2.進化し続ける段ボール そんな成熟期にいる段ボール業界で売上高首位に位置するレンゴーという会社では、小売店での店頭課題を解決するユニークな製品を提案しています。それは、「運ぶ」にくわえて小売店での開梱・陳列などの「並べる」「売れる」といった機能も併せ持つ「レンゴー スマート・ディスプレイ・パッケージング」という輸送兼什器段ボールです。レンゴー調べによると、品出しの作業時間を約5分の1に短縮できるそうです。

〔レンゴー スマート・ディスプレイ・パッケージング〕 http://www.rengo.co.jp/products/rsdp.html

3.「この取引でウチは儲かるのか」も採用の判断基準 ところで、製品を売り込まれた側が採用の要否を判断する際に重視することは何でしょうか。営利企業の場合「この取引でウチは儲かるのか」もあるのではないか、と私は考えています。なぜなら、この儲けを①運転資金、②給与、③株主配当に充てて経営の安定度を高めるためです。具体的な判断基準は①販売単価を上げる、②販売数量を増やす、③変動費を下げる、④固定費を下げる、の各要素に対する貢献の有無と程度になるでしょう。

4.魅力溢れる輸送兼什器段ボール では、上掲の輸送兼什器段ボールは小売店にどう映るでしょうか。まず、品出しの作業時間を約5分の1に短縮することで店内流通原価(※)を削減できるので、「変動費を下げる」という点で貢献できそうです。また、作業時間短縮で生じた余力を店頭での接客に充てられるので、「販売数量を増やす」という点でも貢献できそうです。よって、この製品に魅力を感じて採用を決断した小売店も相当数出現したのではないでしょうか。

(※)店内流通原価とは 荷受けから品出しまで店内の搬送過程で消費される費用のことです。

5.本日のまとめ 段ボールに限らず「この取引でウチは儲かるのか」に応える提案をできれば、成熟期にいる製品であってもまだまだ成長できそうですね。最後に、私からの提案です。段ボールの更なる成長に向けて、美粧性向上に取り組まれてはいかがでしょうか。印刷品質や什器設計等の美粧性を向上させると販促効果も高まり、より魅力溢れる製品になるのではないかと思います。

 
 
 

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